Module 5
よくある誤解と高インテグリティ
グリーンウォッシュを避け、宣言の質を上げる
学習目標
- 代表的な誤解を識別できる
- 高インテグリティな主張の条件を挙げられる
- クレジット・植林・カーボンとの混線をほどける
よくある5つの誤解
① 植林すればNature Positive。② カーボンニュートラルと同時に達成できる単一プロジェクトがあるはず。③ オフセットを買えばバリューチェーンの損失を帳消しにできる。④ 都市企業には関係ない。⑤ 国家の30by30が達成されれば企業の責任は終わる。いずれも、測定可能な自然の状態、ベースライン、バリューチェーンの回避・削減、を飛ばしています。
主張の質
高インテグリティな主張は、(1) 対象(どの組織境界、どのバイオーム、どの指標か) (2) ベースラインと年 (3) 緩和階層の順 (4) 残差の扱い (5) 先住民・地域社会の権利 (6) 第三者検証可能性、が揃っています。Nature Positiveを「将来の願望」として語るのはよく、すでに達成したかのように現在形で語るのは危険です。
クレジット市場を見る目
生物多様性クレジットは発展途上です。追加性、永続性、漏出、二重計上、like-for-like(失った生態系と同等か)、社会的公正が論点です。高品質な回復投資は価値がありますが、「買ったのでネットポジティブ」は、気候の低品質オフセットと同じ失敗を繰り返します。
担当者のコミュニケーション
一年目にできる最も誠実な対外メッセージは、「依存と影響の特定を始めた。優先地域はここ。まだトレーサビリティが弱い原料はこれ。回避と削減の施策はこれ。回復は現場の残差に限る」です。大きな言葉より、範囲と限界を書いた一文の方が、検定が育てたい実務感覚です。
要点
- 達成宣言は対象・ベースライン・階層・検証が揃ってから。
- 植林 ≠ 生物多様性。単一樹種の大規模植林は逆効果になり得る。
- クレジットは最後の補完であり、本業の回避・削減の代替ではない。