Module 2
なぜ今必要なのか(IPBES・自然資本)
損失の原因と、経済が自然に依存している構造
学習目標
- IPBESの5つの直接的ドライバーを列挙できる
- 自然資本と生態系サービスの関係を説明できる
- 依存と影響の二重性を事業に当てはめられる
IPBESが見せた「直接要因」
IPBES地球規模評価(2019)は、自然変化の直接的ドライバーを影響の大きい順に、(1) 陸と海の利用変化 (2) 生物の直接採取 (3) 気候変動 (4) 汚染 (5) 侵略的外来種、と整理しました。間接要因は生産・消費パターン、人口、貿易、ガバナンスなどです。現場の担当者は「自社のバリューチェーンが、どの直接要因を通じて自然に効いているか」を問うと整理が進みます。
自然資本はストック、サービスはフロー
自然資本は、森林、土壌、水、大気、生物群集などのストックです。生態系サービスはそのストックから生まれるフローで、MEAは供給(食料・水・木材)、調整(花粉媒介、気候、洪水)、文化(景観、精神、レクリエーション)、基盤(土壌形成、一次生産)に分けます。ストックを食いつぶすとフローも細ります。これが「自然損失=中長期の事業リスク」の基本構造です。
依存と影響はセット
食品メーカーは花粉媒介と淡水に依存し、同時に農地転換と肥料流出で影響を与えます。建設は砂利・木材・土地に依存し、生息地改変で影響します。金融機関はポートフォリオ経由で両方に間接的に晒されます。TNFDもSBTNも、この「依存(dependencies)」と「影響(impacts)」の両面を見ます。片方だけでは漏れます。
気候と自然は別問題ではない
気候対策の再エネ立地が重要生息地を壊す、逆に生態系回復が炭素吸収と防災を同時に生む、という交差が日常です。Nature Positiveは気候目標の代わりではなく、気候と並ぶ地球システムの柱です。炭素トンだけで自然を語ると、単一樹種の大規模植林のような失敗モードに入ります。
要点
- 直接5要因を暗記し、自社がどの経路で効くかを想像する。
- 自然資本(ストック)と生態系サービス(フロー)を混同しない。
- 依存と影響は常にセットで見る。